萬葉集 第二巻 第142番歌

【読み】
家にあれば笥(け)に盛る飯(いひ)を草枕旅にしあれば椎(しい)の葉に盛る

【意味】
家にいたなら食器に盛って食べる飯だのに、草を枕とする旅の身なので、椎の葉に盛ることだ。

参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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萬葉集 第二巻 第141番歌

【読み】
磐代(いはしろ)の浜松が枝(え)を引き結び真幸(まさき)くあらばまた還り見む

【意味】
磐代の浜松の枝を結びあわせて無事を祈るが、もし命あって帰路に通ることがあれば、なた見られるだろうな。

参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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萬葉集 第二巻 第140番歌

【読み】
な思ひと君は言へども逢はむ時何時(いつ)と知りてかわが恋ひずあらむ

【意味】
物思ひをするなとあなたはいわれるけれど、今度逢うのを何時と知って、恋わずにいられるのどろうか。

参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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萬葉集 第二巻 第139番歌

【読み】
石見の海(うみ)打歌(うつた)の山の木の際(ま)よりわた振る袖を妹(いも)見つらむか

参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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萬葉集 第二巻 第138番歌

【読み】
石見(いわみ)の海(うみ) 津の浦を無(な)み 浦無しと 人こそ見らめ 潟(がた)無しと 人こそ見らめ よしゑやし 浦は無くとも よしゑやし 潟は無くとも 勇魚(いさな)取り 海辺を指して 柔田津(にぎたづ)の 荒磯(ありそ)の上に か青なる 玉藻沖つ藻 明(あ)け来れば 浪こそ来(き)寄せ 夕されば 風こそ来寄せ 浪の共(むた) か寄りかく寄る 玉藻なす 靡きわが宿(ね)し 敷栲(しきたへ)の 妹が手本(たもと)を 露霜の 置きてし来れば この道の 八十隈(やそくま)ごとに 萬度(よろづたび) かへり見すれど いや遠に 里放(さか)り来ぬ いや髙に 山も越え来ぬ 愛(は)しきやし わが嬬(つま)の児が 夏草の 思ひ萎(しな)えて 嘆くらむ 角(つの)の里見む 靡けこの山

【意味】
省略

参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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萬葉集 第二巻 第137番歌

【読み】
秋山に落つる黄葉(もみじば)しましくはな散り乱(まが)ひそ妹があたり見む

【意味】
秋の山に散る黄葉よ。しばらくは散り乱れてくれるな。妻の家のあたりを見よう。

参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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萬葉集 第二巻 第136番歌

【読み】
青駒(あをこま)の足掻(あがき)を早み雲居(くもい)にそ妹(いも)があたりを過ぎて来(き)にける

【意味】
青馬の足の歩みが早いので、雲居はるかに妻の家のあたりを離れて来たことだ。

参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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萬葉集 第二巻 第135番歌

【読み】
つのさはふ 岩見(いはみ)の海の 言(こと)さへく 韓(から)の崎なる 海石(いくり)にそ 深海松(ふかみる)生(お)ふる 荒磯(ありそ)にそ 玉藻は生ふる 玉藻なす 靡(なび)き寐(ね)し児を 深海松の 深めて思(おも)へど さ寝(ね)し夜は いくだもあらず 這(は)ふ蔦(つた)の 別れし来れば 肝(きも)向かふ 心を痛(いた)み 思ひつつ かへりみすれど 大船の 渡(わたり)の山の 黄葉(もみじば)の 散りの乱(まが)ひに 妹が袖(そで) さやにも見えず 嬬(つま)隠(ごも)る 屋上(やがみ)の山の 雲間より 渡らふ月の 惜(お)しけども 隠(かく)ろひ来れば 天(あま)つたふ 入日(いりひ)さしぬれ大夫(ますらを)と 思へるわれも 敷栲(しきたへ)の 衣(ころも)の袖は 通りて濡れぬ

【意味】
岩石もきびしい岩見の海の、言も通わぬ韓といふ韓の崎の海中の石には、底深く海松もはえる。波に見えかくれする荒磯には美しい藻がおいそだつ。その玉藻のように靡きよって寝た子を、深海松のごとくも深くいとしんだのだが、夜を共にした日も僅かに蔓草のように離ればなれに別れて来たので、肝々をやどす心も痛み、その故に思いを残しながらふり返り見るのだが、大船の海原を渡るごとき渡の山の黄葉が眼交(まなかい)に乱れ散って、妻の振る袖もはっきり見えず、妻とともに隠る屋上山の雲間に空を渡りゆく月さながらに、妻の里は隠れてしまったので、天空を西に移っていった落日がさして来ると、美しい衣の袖が涙で濡れ通ることだ。

参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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萬葉集 第二巻 第134番歌

【読み】
丹生(にふ)の河瀬は渡らずてゆくゆくと恋(こひ)痛(た)きわが弟(と)こち通ひ来(こ)ね

【意味】
丹生の川を浅瀬もえらばずどんどん渡ってゆくように、どんどん恋しさのつのって来る弟よ、こちらに通っていらっしゃい。

参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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萬葉集 第二巻 第133番歌

【読み】
小竹(ささ)の葉はみ山もさやに乱(さや)げどもわれは妹思ふ別れ来(き)ぬれば

【意味】
小竹の葉は山路にみちてざわざわと風に鳴っているが、私の心は一途に妻を思う。今や別れてきたので。

参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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