毎回文章と共に野の花に登場してもらっている。
散歩の途中に出会った花である。毎回載せるだけの種類があるのかと不安に思っていたが、野には数多くの花が満ちているのに驚いた。
里山に、公園の片隅に、街の花壇に、道端に、そして、コンクリートの裂け目に、至る所に花は咲いている。見られていようがいまいが、どれも気負わず、自分が根を降ろした場所で精一杯咲いている、そして美しい。
『琴線に触れる』という言葉がある。琴線とは、物ごとに感動しやすい心の琴の線にたとえたもので、良いものや、素晴らしいものに触れて感銘を受けることをいう。
この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかね
琴はしづかに鳴りいだすだろう
八木重吉「素朴な琴」
芸術の秋(ほぼ冬ですが)美しいものに触れて、心の中にある琴の線を鳴りいだしてみましょう。 美術館に行くのもよし、音楽を聴くのも、そして、身近にある草花を愛でるのもいいでしょう。
しづかに美しいものに向き合って、心の糸を共鳴させる時間を持ってはいかがでしょうか。
