【三十一文字のこころ】<14> 月よみの光を待ちてかへりませ 山路は栗のいがの多きに

月よみの光りを待ちてかへりませ 山路は栗のいがの多きに(良寛)

【読み】つきよみの ひかりをまちて かへりませ やまじはくりの いがのおおきに

【歌意】良寛は、庄屋で酒造業をいとなんでいる阿部定珍との親交が深かった。二人は風雅を好み、歌のやりとりをし、また、有力なパトロンでもあった。
定珍が良寛の住む五合庵(国上山山中にある草庵)に訪ねてきたが、話しこんでいるうちに日はいつしか暮れてしまい、あわてて帰ろうとする定珍を引きとめた歌である。

—-もうじき月がでましょうから、その月の出を待って帰られたらいかがですか、山路には栗のいががそこらじゅうに落ちていて、踏んだら痛い目に合うといけませんから。—-

歌人で書家の吉野秀雄は、この歌を「良寛の代表作」という。

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