萬葉集 第一巻 第16番歌

【読み】
冬こもり 春さり来(く)れば 鳴かざりし 鳥も来(き)鳴(な)きぬ 咲(さ)かざりし 花も咲けれど 山を茂(も)み 入りても取らず 草深み 取りても見ず 秋山の 木(こ)の葉を見ては 黄葉(もみじ)をば 取りてそしのふ 青きをば 置きてぞ嘆(なげ)く そこし恨(うら)めし 秋山われは

【意味】
冬がすぎて春がやって来ると、今まで鳴かなかった鳥も来て鳴く。咲かなかった花も咲く。しかし、山はしげり合っていて、入って手にとれもせず、草も深く、手折ってみることもできない。一方、秋の山の木の葉を見るにつけ、黄葉を手にとっては賞美し、青い葉を措いては嘆く。そこに思わず恨めしさを覚える。そんな心ときめく秋山こそ。私は。                                     参考文献 万葉集(中西進著)講談社文庫

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